予備校は教育の市場化のモデル 河合塾の講師から首脳になった丹羽健夫氏の著作だ。予備校が一般の認識と異なり、受験のための単なる詰め込みではなく、教育を真剣に考えて、かなりの成功を収めていることが記されている。
予備校側の人間が書いている本なのではあるが、ここに書かれていることは信用ができると思われる。予備校は言わば自由競争なので、その勝者たる河合塾がこれぐらいのパフォーマンスをだしていない訳はないのだ。予備校は日陰の存在で、行政や教育界、メディアの批判の中で、学生と父兄=お客さんの支持のみを頼りに発展して来た。目的も、大学入試に通ること、そのための学生のやる気を引き出すことと、極めて明確で、パフォーマンスの計測も比較的簡単である。こういう状況では、進化と淘汰が進むのは、生物の世界でも、会社でも、教育界でも同じことだろう。
つまり、予備校だから良い教育ができたのではなくて、良い教育をした学校のみが生き残る状況があったと言うことなのだ。高校でも大学でも同じ状況を作ってやればあっと言う間に良い教育をする学校は出現するはずだ。同じ状況というのには:
1.明快な目標。
2.失敗者の出現を許す。
3.行政やメディア、大衆が、細かく口を出さない。
の3点が重要だ。しかしながら、公教育でこれを実現するのは大変難しい。とりあえずは、予備校が存続を掛けて蓄積して来たノウハウをできるだけ勉強していかないといけないなあと思っている。そのためにも、大変参考になる本であった。
予備校が分かる!
予備校と公教育の対比、それぞれの役割や歴史的な話を主としている。社会の流れや歴史的背景との関係性を説きつつ、きちんとしたデータをもとに教育の観点から話がすすめられている。元来は公教育は学問的な本質を担い、予備校はその土台を元に様々な解法を紹介する。近年は公教育でなぜこうなっているのか?であったりなぜこのことを学ぶのか?などを含める部分を手放し演習中心の本来予備校がやっていた所に力を入れ始める。これは保護者や生徒のニーズによるものであるという。一方で予備校は学校教育で本来あった部分を埋める作業に時間を割きつつ本来の演習もこなさないといけないというように変化があるという。
枝葉ではあるが印象に残ったのは予備校講師が言葉の威力の持っている大きさを大切にしていること。予習の段階で講義のシナリオを作り、その後に講義で喋る言葉探しにすら時間を割く。聞いている人を変えれる講義をするには膨大な時間に裏打ちされた言葉選びから始まっおり、それなりの準備あってということだ。
学校と予備校の差とは? 河合塾のお偉いさんが書いた教育論。
いかにして良い予備校を作るか、学校教育のダメさ、大学のあり方などがわかりやすく書かれている。
授業の予習さえしないような予備校教師はすぐに生き残れなくなるが、授業の予習をしない学校教師は100%生き残れる。
これが学校と予備校の大きな差。
予備校のオリジナリティ 予備校で浪人生相手の仕事(化学の個別指導)を経験したことがあります。「化学」というひとつの科目をとっても公的機関の教え方と塾・予備校関連の教え方との両方があると思います。そしてどちらの方がその学問に対して興味を持てるかというとcase by caseです。 予備校では本質になど目もくれずテクニックだけ学んで受験に臨んでしまう生徒がいるのも事実である一方で、ユーモア・インパクトのある講義に接することができるので学問に対する興味をより一層引き出してもらえると言う生徒もいます。 公機関でない予備校の独自性のおかげで、日本人の学力も幾分かマシにあんっていると考えているのは僕だけでない。。。そう共感する部分が多々ありました。
ソフトな印象だが、示唆に富んだ一冊 社会構造の変化に伴う大学進学率の上昇、第二次ベビーブームによる受験生の増加、高校の教育体制の変化などを経験してきた予備校Kの過去30年間の取り組みを、平易に綴った一冊。教科の意味や本質について熱弁をふるう全共闘世代の個性的な講師陣、行き場のない学生を受け入れる多様なコースやアクティビティー作り、中国、韓国、日本の試験問題とその正解の比較、等々、ユニークで興味深いエピソードが数多く紹介されている。そもそも予備校は「ビジネス」であり、その一義的な目的は、大学合格者数を増やし、多くの生徒を集め収益をあげることにあるといえよう。しかし、一方で受験生ないし教育を取り巻く状況を冷静に分析し、また生徒の視点に立ち、教育の本質に肉薄してきた姿がうかがえる。 大学や社会が求める人材は時代によって変化するものであり、学生の能力も様々だ。「適切な教育」といったものは断定的に語られるものではないだろう。本書では「教育とはこうあるべきだ」といった強い主張ではなく示唆的な提言が多いが、それこそが予備校の柔軟な体質を表しているのではないだろうか。そして、状況に応じた対策のヒントがこの本には詰まっている。 また、予備校Kの取り組みに通低する、十代の多感な若者達に多様な経験をさせ彼らの才能を育んでいきたいという姿勢が印象的だが、これは、方法論を議論する前にまず立ちかえりたいポイントだと感じた。
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